学校検診と予防歯科
私は福岡県京都郡豊津町という自然溢れる町で、カブトムシとセミを捕まえる事が、生き甲斐のような小学生でした。この時期になると学校検診の結果をもって、歯科医院を受診していた小学校3年生のころの記憶を明確に思い出します。40年近くも前の話です、今では考えられませんが当時は、1人で自転車に乗って通っていたと記憶しています。その歯科医院の直前に急な坂道があり、歯科への恐怖心とあいまって、その坂道を登るのがとにかく嫌で、その時の事は今でも鮮明に覚えています。
私が歯学部を卒業した20年前、私はフッ化物の応用によるむし歯予防に懐疑的でした。もしそんな事が出来るならなぜむし歯がこの世からなくならないのか、予防歯科というのは机上の空論ではと考えていた生意気な学生でした。
南カルフォルニア大学の副学部長でアジア人初のアメリカ歯科医師会会長を務められたEugene Sekiguchi先生から、アメリカでの予防歯科に対する取り組みと私が学生時代に理解していた日本での予防歯科の取り組みは大きくかけ離れていた事を学ばせて頂きました。アメリカから帰国して母国の為に働く事の大切を教えて頂いたのも日系2世のSekiguchi先生の母国を思う気持ちでした。その時に学んだ予防歯科の概念を母国である日本に伝える事、またそれを実現する場として診療室を開設致しました。
その歯を削るのか、予防的な対応が可能なのか、また、予防的な対応を行う為に必要な機材や材料は何か、その時の学びを形にしていきたいと思っています。当院では、従来通りの視診とレントゲンに加え、ダイアグノデントという蝕を数値化する機械を用いて、経験と科学の目の療法から診断を行っていきます。また、初期のむし歯がそれ以上進行しないような提案を行って参ります。